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ISO9001 品質マネジメントシステム(QMS)とは

ISO9001は「品質マネジメントシステム」の国際規格です。マネジメントシステムとは、「組織運営のルール」「経営の仕組み」のことで、製品・サービスの品質を継続的に改善する仕組みの実現に必要な事柄(=要求事項)を定めた規格となります。

事業の中断が生じたままでは顧客取引の競合他社への流出、マーケットシェアの低下、企業評価の低下などにつながりかねないため、企業を守るリスクマこの規格では、顧客の求める製品・サービスの品質を実現するために、業務の標準化と文書化、定めたルールの実施とその記録、実施状況の点検と改善を行ってゆくことが要求されています。

ISO9001規格は、数度の改定を経ており、最新版は2015年に改訂されたISO9001:2015です。元の規格書であるISO9001は英文で記述されているため、実際に取り組むにあたっては、日本語に翻訳された「JIS Q 9001:2015」を参照することになります。

ISO9001の要求事項について

ISO9001の要求事項を列挙していくと、126項目の要求事項があると説明されることがあります。これは、規格原文の「shall」の個数をカウントした数字なのですが、「shall」の個数に着目されることがあるのは、これが英語の助動詞で命令・規程「~しなければならない」を意味するためです。
以下の通り、ここでは特徴的なポイントを大きく5つ取り上げることにします。

1.PDCAサイクルによる継続的改善

ISO9001とは

ISO9001では、PDCAサイクルに基づいた製品やサービスの提供を行う仕組みを作り、実施していきます。PDCAサイクルというのは、計画(Plan)・実施(Do)・点検(Check)・改善(Act)の英語の頭文字をとったものです。

2.文書化

組織内で業務手順を標準化しても、それを「見てわかる」ようにしなければ、人によって作業方法が異なったり、その結果にブレが生じます。このため、必要に応じて、手順の文書化が必要になります。また、作業を振り返って、点検(Check)・改善(Act)につなげるためには、記録の取得・維持も重要になります。
文書や記録の要求事項については、ISO9001の4章で取り上げられています。

3.経営トップの関与

ISO9001に基づく品質マネジメントシステムは、自社の製品・サービスという側面から見た企業経営そのものですから、経営者の関与が求められています。これについては、ISO9001の4章、5章、7章で取り上げられています。

今回の改正では、4章で、「外部と内部の課題」及び「利害関係者のニーズ及び期待」を把握し適用範囲を定めることを要求しています。また、5章では経営者の責任と実施すべき事柄を扱っており、今回の改正では、2008 年版で存在した「品質管理責任者」の項がなくなったことも象徴的と言えます。7章では経営資源(いわゆるヒト・モノ・カネ)に関する要求事項が取り上げられています。

4.製品・サービス提供業務の明確化

ISO9001の8章「運用」で取り上げられている要求事項に関連して、製品の製造、サービスの提供に必要な作業について記述した基準類や記録が必要になります。要求事項に列挙されているプロセスは、様々な製品製造やサービス提供に適用可能な、言い換えると“抽象度の高い”記述となっており、規格の文言そのままをルールとして適用するのは難しいでしょう。規格概念を理解した上で、会社の業務に合わせてルールを明確化していくことが重要です。

以下、参考までに8章で挙げられている項目を記載します。

8.1 運用の計画及び管理
8.2 製品及びサービスに関する要求事項
8.3 製品及びサービスの設計・開発
8.4 外部から提供されるプロセス、製品及びサービス
8.5 製造及びサービス提供
8.6 品質マネジメントシステム及びサービスのリリース
8.7 不適合なアウトプット管理

5.内部監査

ISO9001では、組織の管理能力達成のチェック手段として、内部監査の実施を求めています。これは、製品製造やサービス提供時の各作業段階におけるチェック(こちらは別の要求事項)ではなく、組織の仕組み(=マネジメントシステム)がどのように運用されているかについて組織内でチェックする作業です。仕組みの運用が、組織が定めた計画・ルールに沿っているか、ISO9001の規格要求に沿っているか、さらに効果的に運用されているかといった観点から実施していきます。マネジメントシステムの運用を形骸化・陳腐化させないために重要なものです。

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